4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p603-657.読了
今日は少し多めに読んで4巻を終わらせました。
本当は先月末に読み終わらないといけないところだけれど、完全に停滞しましたね(汗)
主人公は、アルベルチーヌの泊まる部屋に招かれ、身をかがめて接吻しようとしますが、けたたましく呼び鈴を鳴らされるという形で拒まれます。
ここでは「え?何で?」と思いましたが(主人公は女性に対して期待しがちなところはあるとはいえ、ここはそういう空気かなと読者としても思われるような気がします)、後で何となく理由が分かります。多分、主人公がアンドレに気があるようなそぶりをしていたことにも起因しているのかな?という感じです(はっきりは書かれていませんが)。
主人公の気持ちはアルベルチーヌから離れ、長かったバルベックでの滞在も終わりを迎えるところで4巻が終わります。
アルベルチーヌの人柄というか、魅力についても割と長く記述されていますが、裕福でとびきりの美女という訳ではないけれど、人を惹きつける魅力のある人気者のようですね。愛想がいいというか愛嬌があるのでしょう。
上記のことがあった後で主人公にシャープペンシルをくれるところなども、主人公は美徳を装う邪心と捉えていますが、私には心遣いがあるように思えます。
あと、アンドレの魅力が分かりながらも、主人公にとっては知りすぎているものが詰まっていて愛するには至らなかったというのは、分かるなあと思いました。
恋におちるためには、自分が「知りたい!」と思うものがないとダメだし、それって自分と似ている相手より、未知の部分が大きいと感じられる刺激的な相手に対して湧きやすいものじゃないかなと思います。
4巻は、サン=ルーとアルベルチーヌ(娘たち)が登場し、主人公の恋愛観の変化もみられた巻だったかなと思います(でも、アルベルチーヌに接吻させてくれたら嬉しかったと言ってしまうなど、相変わらず急にストレートで不器用な気がします…)。
4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p572-603.
主人公は、すっかり“大恋愛”の予感に色めきだってますね(笑)
アルベルチーヌの手の感触の表現など、ああ恋だなあっていう感じがします。
ただ、ジルベルトとの初恋の時とは違い、主人公は、自分で想いに気付きながらもそれをすぐにアルベルトに伝えるようなことはしません。
主人公自身も、恋愛観が異なるものになっていたと考察しています。少し大人になったというか、アルベルチーヌに自分の歓びを悟られないほど、自分の歓びになることを提供してくれるだろうと考えられるようになったようです。
アンドレはアルベルチーヌと対比的な存在なのですかね。
よくも悪くも無邪気なアルベルチーヌに対して、如才ない娘として描かれていますね。
私は、後者の方が好感もってしまいます。
あと、アルベルチーヌが主人公の心に立ち現れてくる様を、月に例えて記述しているところがとても素敵だなと思いました。
今日は以上です。早く5巻に入らないといけないですね。
4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p542-572.
記録が滞ってしまったので、2回分まとめて更新します。
以下、数日前に読んだ箇所です。
今回の箇所は、アルベルチーヌが突然「あなたのこと、好きよ」と書いた紙を主人公に渡してくるという進展があったくらいでしょうか。何か、よくも悪くもアルベルチーヌらしいなあと思います。
また、友人と過ごすことと娘たちと過ごすことの違いについても記述されており、後者では真の喜びを感じるというようなことが書かれていたと思います。理性を介した交流とエロスが根底にある交流だったら、それは後者の方が体の底からの喜びも感じられるのかもしれませんね。
その友人と過ごすことについての考察に付随して、人間は外から石を付け加えて作る建物ではなく、自身の樹液で成長していく樹木のような存在であるといった記述もあり、プルーストがやはり自分自身の内面の枠組みや、そこから湧き上がるものを重視していることが感じ取れます(社会構築主義のような考え方とは対照的にも思える)。
簡単ですが、続きもあるので今回は以上です。
4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p512-542.
今日読んだ箇所です。
主人公はアルベルチーヌ以外の“娘たち”と知り合いになりたいと思ったり、実際に知り合って目移りしている一方、アルベルチーヌは他の女性を悪く言ったり、主人公に対する独占欲が出てきているのかなと感じました。
主人公の初見では印象のあまりよくなかったアンドレは、アルベルチーヌとは対照的に落ち着いていい娘だなと感じました。アルベルチーヌは、よく言えば無邪気というか、細やかに相手に気遣いする方ではないのかなという印象です。
恋愛についての考察もあり、ここは、恋愛というのはその人の内面が反映される部分が大きく、ゆえに一人の人間の恋愛というのは類似するということを言っていると解釈しました。
また、愛する人の性格というのは冷静に把握することなどできないというようなことも述べられており、そういう部分もあるのかなと思いました。
今日は、ざっくりそんな感じです。
アルベルチーヌとの恋愛が進んでいきそうですね。
4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p482-512.
忙しくなったのもありますが、やっぱり停滞してしまいました。
昨日再開したので、昨日読んだ箇所になります。
ブロックっていいキャラしてるなあと思いますね(笑)
サン=ルーが表面的には招待するような言葉を言いつつ、来ないようなニュアンスを込めていたのに、その真意を全く汲み取らずに早速行く気満々になるとは…。
主人公はとうとう、エルスチールからアルベルチーヌを紹介してもらいます。
そのくだりで、人間の意志についての考察があり、とても深いものだと感じました。
ざっくりまとまると、知性や感性がうだうだとしている間に、意志は我々の真意を汲み取って物事を前に進めてくれたりするというような意味かなと思います。恋愛においては特に、我々を助けてくれるものかもしれませんね。
主人公は、自分一人のときに深く感じることをとても重視しているなと感じます。
アルベルチーヌに会った感想として、歓びは写真のようなもので、愛する人のいる所で撮ったものはネガにすぎず、それを現像できるのは内心の暗室を使えるようになってからであり、その暗室とは人に会っているときには立ち入れないと考えています。
この箇所を読んで、恋愛を深めていくのは一人で過ごす時間なのかもしれないなと思いました。
その後、主人公と話すようになったアルベルチーヌのセリフから、ブロックがなかなかの美男子だということが分かりました。
それよりも、あからさまに差別的表現を口にしたりと、アルベルチーヌが、主人公が普段付き合っているような人たちとはちょっと違う感じの子らしいということの方が、ここでは大事なのかもしれませんが。
主人公もそれを感じ取っていて、自分の投げた言葉がアルベルチーヌの中にどんなふうに落ちるかということを、見当もつかないと感じているようです。
アルベルチーヌは可愛らしいとは思うけれど、今のところ、そんなに惹かれないような気もします…。ジルベルトから上品さをとった感じがするというか…屈託のなさみたいなものは少し魅力的かもしれませんが。
続いて、今日読んだ箇所についても投稿します。
4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p452-482.
ザ・停滞期。
何度も何度も止まりながら読んでいます。
なんだかんだ、恋愛が進む部分が面白いのかなあ…。
主人公は、エルスチールと早く散歩に出たくてしょうがないのですが(例の娘たちを紹介してもらうため)、エルスチールが最後の一筆を入れた花の画に興味があるふりをします。
主人公には、美徳からではなく自尊心のためにこうした行動をとる性質があるそうです。
実際には、エルスチールは娘たちと話してはいたものの、離れたところにいた主人公を紹介することはしませんでした。
これに対して主人公が「あのお嬢さんたちと知り合いになれたら嬉しかったんですが」と率直に伝えたのは、結構大胆だなと思いました。繊細なのにちょくちょく大胆なんですよね。
エルスチールが「近づきになった記念に」と小さなエスキスを渡そうとするところは、私だったら大感激するなあと思いました。それに対して、主人公は「望みのものを与えてくれない人も、別のものなら与えてくれるのである」と、随分失礼な思いを抱いています(笑)
さらに、ミス・サクリパンの肖像画の写真が欲しいと言ったり、そのモデルがスワン夫人なのではないかと訊いたり、かなり図々しい行動に出ています。自分が画家の立場だったら、何このガキって思いますね。
そして、主人公の質問から、エルスチールは、ヴェルデュラン夫妻からムッシュー・ビッシュというあだ名で呼ばれていた人物だということが分かります。
ここでさらに、主人公は落胆の顔をするという失礼を働くのですが(笑)、それに対するエルスチールの態度は、とても理性的で感心しました。
まだ若い主人公に対して、まずはありとあらゆる滑稽な人にならなければ最終的に賢人になどなることはできないということ、駆け出しのころの自分のすがたなどは不愉快なものであっても生きてきた証であり否定してはいけないということなどを説くのです。
とても父性がある人だなと感じました。
主人公の包み隠すことをしないところには、たまにイラっとするなあ(笑)
その後、サン=ルーの出発の場面が描かれています。
ブロックが迷惑がられている様子は、ちょっと面白かったです。
今日は以上です。
挫折しないように頑張ります。
4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p422-452.
今日の箇所は、ずっとエルスチールのアトリエの場面でした。
エルスチールの画家としての素晴らしさは、教養に裏打ちされた知性の持ち主でありながら、知性のもたらすものを脇において描こうとするところにあるようです。
この作品ってたまにテレビドラマ的な展開があるような気がしますが、主人公が恋い焦がれる娘たちは、エルスチールのアトリエをよく訪れており、のちに主人公が恋に落ちるアルベルチーヌも、その1人のようです。
それを知るやいなや、主人公にとって、威光のある画家エルスチールも娘たちとの橋渡し役として必要な存在に過ぎなくなります(笑)
色々読み飛ばした部分もあり、今日は以上です。