ももてぃの「失われた時を求めて」再読日記

文学に関しては完全な素人です。岩波文庫で読んでいます。一応、1ヶ月1巻ペース

2巻<スワン家のほうへⅡ>pp124-152.

相変わらずスワンの恋心の話が続いています。

 

オデットを好きになって、色々な事物に再び魅力を見出せるようになったというスワンの感覚、恋に落ちたことのある人なら分かるものだと思います。

プルーストは「若き日の霊感がよみがえるのを感じ」と表現していますが、まさにその通りだなと。恋愛に堕ちているときのあの感性のみずみずしさって、何ものにも変えがたいものがありますよね。

 

その後、例えば、スワンとオデットの“シック”に対する捉え方の違いなどが記述されていますが、要はオデットにはあまり知性も教養もない…でも、スワンはオデットの趣味や価値観を否定するどころか、オデットの感じ方と一体化していこうとしていく…。

とても不思議だけれど、恋って頭でするものじゃないから、教養のある人が同じように教養のある人を好きになる訳ではないし、恋心を取り除けば単なるセンスの悪さを示すものも、好きな人が好きなものなら好きになろうとするし、実際に素敵なものに思えてきたりする…。プルーストは恋愛のそういう面を描きたいがために、オデットの教養のなさや思考の浅さ、悪趣味を殊更に強調して記述しているように思います。

誰かを深く愛するようになると、そんなことがなければ絶対に好きにならないものに魅力を感じるようになり、自分の世界が奇跡のように広がっていく…私も恋愛の素晴らしさの1つはそこにあると思います。

 

続いて、スワンが、自分とオデットの恋に何かと気を利かせてくれるヴェルデュラン夫妻を「心の広い人」として賞賛している箇所は、ちょっと笑ってしまいますね。

まあ、自分の恋愛に協力してくれる人は、どうやってもいい人には見えますよね。

 

今日は以上です。