2巻<スワン家のほうへⅡ>pp257-285.
今日は1番走り読みしてしまったかもしれません。
恋の病におかされたスワン、迷走していますね(笑)
オデットは、なかなかというか分かりやすく図々しいですよね。ヴェルデュラン夫妻(→スワンは同席不可)をワーグナー上演に招待するためのお金を無心してくるなんて…。
スワンが見せしめのような返信をしても、オデットの方では陽動作戦にすぎないと捉えたようで、「苦しめてしまった」と思い直すスワンが哀れ…としか言いようがないです。
スワンの恋の病は、一見小康状態のようでありながら、実はスワンの全てに(「死後にそうありたいと願っているもののなかにまで」)浸透していて、もはや「手術不能」の状態と表現されています。
そして、そこにオデット本人でさえ大した位置を占めていないちう捉え方は、とても興味深く思いました。確かに、誰かにもの凄く恋い焦がれて四六時中その人のことを考えているようなとき、いざ本人を目の前にすると「これがあの女(男)か」となる感覚は、何となく分からなくもないです。人の恋心というものについてここまで精緻な捉え方をできるって、やっぱりプルーストは天才だと思いました。何となく感じても、こういうものを意識にあげて精確に文章にするって、ものすごく限られた人しかできないと思う。
オデットにただ会うためだけにあらゆる口実を考えなければならないスワン、随分健気な立場に置かれてしまいましたよね。金を無心するくせにそんなぞんざいな扱いをするオデット、普通に悪女じゃないかって思いました。
スワンのまなざしは、オデットは実は囲いものなのだと悟ったり、人間的な心根の持ち主なのだと感じたり、揺れ動いている感じがします。
でも、これほどではないにしても人って誰しも陰と陽の面がある訳だから、恋してある人を注意深く見ていれば色んな面が見えてくるし、その人のことを夢中になって考えていれば色んな可能性が浮かんでくるのは、自然なことのようにも思えました。
今日は以上です。
次は、もう少し集中力のある時間に読もうと思います。