2巻<スワン家のほうへⅡ>pp285-310.
スワンはどんどん哀れになっていきますね。
誰かに恋い焦がれるあまりここまで哀れになれることが幸せなのかもしれませんが。
どうでもいいおしゃべりの中にもオデットのことが出てくると一喜一憂してしまったり、疑惑がおさまったかと思えばすぐにぶりかえしてしまったり、スワンの心はすっかり恋の痛みに侵食されてしまっています。
誰かを想う気持ちが大きくなりすぎて逃げたくなるまでになるのは分かるけれど、死のうとまで思い詰めてしまっているのは凄いですね。
オデットとの関係は立場が逆転したと言うよりさらに進んで、オデットが、スワンの心を完全にものにできているという確信から、ますますスワンをぞんざいに扱うようになっている感じですよね。こういうのは、人として…って思います。自分をそこまで想ってくれている人なら、できる限り優しくしてあげるべきじゃないかな…。
…健気で哀れなスワンと浅ましくひどいオデットを対比的に描くことで、恋愛のからくりを描き切ろうとしているのかなと思いますが。
スワンの方は、ついにオデットから出される禁止事項を愛されている証拠としてみなすほかなくなったり、オデットから愛されて幸せだった日々のことをありありと思い出すのを回避したりしていて………本当に切ないですよね。
また、シャルリュス男爵がスワンの恋の協力者として登場していますが、この人自身のことものちに長く描かれていて、かなり印象的なパートになっていたと記憶しています。
ここでは、まだそんなに個性は出ていない感じかな。
スワンが社交界に顔を出す場面も出てきていますが、ここの詳細な描写は何だろう?
とにかく、スワンの心情としては、社交界の人たちの集まるこんな豪華な場よりむしろ、みすぼらしくてもオデットと関係のある場にいたいようですね。
この恋愛にどうやってオチがつくのかが見ものです。