ももてぃの「失われた時を求めて」再読日記

文学に関しては完全な素人です。岩波文庫で読んでいます。一応、1ヶ月1巻ペース

2巻<スワン家のほうへⅡ>pp336-360.

少し空いてしまいましたが、まず何日前に読んだ箇所について記録します。

読む時間はあっても、記録をつける時間がないときがあるんですよね。

でも、記録をつけるってことがないと、ちゃんと読み込まないので。

 

スワンは大分レ・ローム大公夫人に気に入られているのかな、とうかがわれる描写がありますね(両者に重要な事柄で考えが一致するところはない、とも書かれていましたが)。

 

スワンの恋は、周囲の人には本当に理解されていません。

レ・ローム大公夫人も、スワンの頭の良さを認めながら、それが「あの手のばかとか言われている面白くもなんともない女のために苦しむなんて」と、理解に苦しんでいる様子。フロベルヴィル将軍からも「野蛮人に虐殺される」などという表現をされていますね(これはいくらなんでも過激だと思う、笑)。

でも、現代にもこういうことってありますよね。「なんであんなに地位のある素敵な人があんな奴と!?目を覚めしてほしい」みたいな。プルーストは「恋をしていない者ゆえの分別」と表現していますが、恋愛とその周辺に普遍的に見られる現象かもしれません。

スワン自身も疎外感を覚えているのか、恋心は「本人にとってしか存在しないもの」、「主観的状態にすぎないもの」といったことを、ことさらに感じている様子です。

 

その後、ヴァントゥイユのソナタを聴くスワンの心に、抽象的な“俺が愛されていたころ”などではなく、具体的な想い出のエッセンスがありありとよみがえってくる描写は、プルーストらしいと思いました。

記憶の感覚みたいなことを表現するのが、本当に巧いなあと思います。そういうことにとても関心のあった人なんでしょうね。

 

スワンがヴァントゥイユの小楽節に慰められている描写は、とても美しいです。少楽節を香水にたとえて、ささやくように通り過ぎて言うべきことを伝えてくれるとか、スワンがそれが飛び去るのを残念に思い口づけの仕草をしたとかの表現は、とても巧みだなと思います。音楽の鑑賞についてのここまで繊細で美しい表現って、他に見たことがない気がします。

その後、スワンが音楽やヴァントゥイユの小楽節について考察している内容が割と長く書かれていますが、ちょっと小難しいですね。

 

今日はまたもう少し読み進める予定なので、記録はこれくらいに簡単にしておきます。