ももてぃの「失われた時を求めて」再読日記

文学に関しては完全な素人です。岩波文庫で読んでいます。一応、1ヶ月1巻ペース

3巻<花咲く乙女たちのかげにⅠ>p96-126.

今回の箇所では、ずっと気になっていた結婚前のオデットの心情についても触れられており、少しだけすっきりしました。

オデットとしては、スワンが最終的に自分とは結婚してくれないのかもしれないと思っていた訳ですね。自分たちより交際期間の短い友人カップルが結婚に至ったりもし、オデットとしては余裕がなくなっていたのかもしれません。

オデットがスワンの性格上の特徴をよく掴み、スワンの書き物の中にもそれが現れされるように勧めたといったあたりなんかは、親密なカップルらしいなとも感じました。

 

スワンが“異種交配”に官能の喜びを感じていた可能性の指摘は、分からなくもないです。

身分違いの恋って、ドラマがあってやっぱり憧れます(個人的には、不良とお嬢様の恋物語とかが好きです。ここで指摘されているのは、そんな浅いものじゃないとは思いますが)。

 

スワンがただひとつ願った、ゲルマント公爵夫人と妻子との交流は、スワンの生前は実現が許されなかったものの、死後にかなったということも触れられていますが、このあたりのドラマはのちに描かれるようで楽しみです(ただ、そのことを社交的野心として願うのは、私には感覚的によく分からなかったです)。

このことに添えられている、因果律の話はとても面白いと思って読みました。因果律のはたらきは最終的には起こりうる結果を全て生じさせるが、そのはたらきは緩慢になることもあり、われわれが望まなくなったり生きるのをやめたりしたときに、その結果が出ることがあるとのことです。

 

それにしても、オデットを愛さなくなっていたのに、スワンはどうしてオデットと結婚する決意をしたのでしょうか…。今度は、スワンの気持ちがいまいち分からなくなってしまいました。

 

続いて、主人公がノルポワ氏にベルゴットのことをたずねますが、ノルポワ氏はベルゴットを人としても作家としても酷評し、さらにはベルゴットの“悪影響”を受けた主人公の散文詩までも批判します。

当然主人公は大変に落ち込んでいる様子ですが、第三者として読んでいる読者の私にとっては、なんだか、ノルポワ氏には文学のセンスがないだけなのではないか…という感じもします。あるいは、ベルゴット個人とのファーストコンタクトの印象が悪かったために、評価がそれに引きずられているのではないかという疑惑ももちました。

 

主人公は、スワン一家の中に入り込みたいという気持ちが強まっている感じですね。

オデットを見かけたくてブローニュの森に行っているって、初対面のノルポワ氏にしれっと言うことなのか…と思ってしまいました(笑)