3巻<花咲く乙女たちのかげにⅠ>p398-428.
今回の箇所は、プルーストの恋愛に関する持論が炸裂している感じでした。
例えば「愛に関する限り、その認識は間歇的」と難しい言葉で書かれていましたが、恋心って恋しているときにしか分からないもののような気がします。だから、プルーストが恋愛についてこれだけ色んな段階を精緻に書けるのは凄いなあと思います。1つの段階だけ精緻に書いているのなら、今作者もその状態なのかなって思うのですが。
また、男がどんなにあがいても崩せない障壁が、もはやどうでもよくなったときにあっさり崩れ落ちることがあるということも書かれていて、こういう“因果律”の話は恋愛に限らず好きなのかなと思いました。
あと、今回1番なるほどなあと思ったのが、「弱点を見たからといってなんら愛情が減るわけではなく、それどころか愛情ゆえに弱点まで魅力的に見える」という部分です。個人的には、弱点が見えれば見えるほどハマるような気もします。弱点が愛おしく思える。まあ、スワンみたいに、人に怒鳴りつけるという相手の弱点を愛そうとは思いませんが。
主人公のつらい心情も描かれています。恋愛についてあまり希望的観測ができない時に、また会うことを延期されているつらさは、実は、実際に会ったときの苦痛に比べれば小さいのではないかと感じられるといった記述があり、ここもなるほどなと思いました。会って相手の現実(自分に対する気持ち)を知ることになる、そのことへの恐怖っていうのはよく分かる気がします。
それにしても、ジルベルトのためにレオニ叔母が残してくれた壺を売って、1万フラン(約500万円)を得たというのには驚きました。さらに、ジルベルトにプレゼントなどしてやる機会がなくなると、それをすぐに使い果たしてしまった(記述から娼家に通ったということだと思います)というのには、呆れました。神経質な割には、お金の使い方はあまりに大胆ですよね。
ジルベルトへの恋心に関しては、他の男性といるのを見かけた気になっているのもあって、このまま会わずにいて気持ちが薄まっていくことを選択したということでしょうか。
その他、今日の箇所には、オデットが色々な面で垢抜けた(?)という趣旨で色々記述されていましたが、そこは割愛します。
今日は以上です。あと1日で3巻終わります。