ももてぃの「失われた時を求めて」再読日記

文学に関しては完全な素人です。岩波文庫で読んでいます。一応、1ヶ月1巻ペース

1巻<スワン家のほうへⅠ>pp350-370.

今日はなぜか歯が痛くてあまり集中して読めませんでした。

 

先の場面に関連して、ヴァントゥイユ嬢のサディズムについて。

結構前に、祖母の視線も借りながらヴァントゥイユ嬢の繊細な心について描かれた箇所がありましたが、ここの伏線ですかね。とても純粋な心の持ち主であるからこそ、官能を悪を思い込んで、その歓びに身をまかせるときには悪のベールをかぶらないといられない…ということでしょうか。

そういうふうには書かれていないと思うけれど、ヴァントゥイユ嬢が元々純粋で善良な心の持ち主であったことに加え、晩年の父の苦悩する姿もヴァントゥイユ嬢に快楽=悪からくるサディズムを植えつけてしまったのではないかと思いました。

それにしても、ここで描かれていること(父の遺影を汚す)は、どんな心の経緯があろうとも悪趣味だなとは思います…。

 

打って変わって、“ゲルマントの方”の美しい描写が続きます。

“ゲルマントの方”のシンボルは、ヴィヴォンヌ川なのでしょう。

主人公と一緒に散歩している気分になれるような、美しく繊細な記述で描かれています。

特に、植物の描写が素晴らしいですね。

卵の黄身の色のような美しいキンポウゲの花々の描写が特に好きです。

睡蓮については、時間ごとに移り変わる空模様との兼ね合いで記述された部分もあり(申し訳ないけれど、ここは訳が少し分かりにくいです)、印象派の影響を受けた記述のように感じました。実際、睡蓮に関しては、モネの連作に触発された描写と推定されるとの註があります。

モネの睡蓮は、オランジュリー美術館などでも観たことがあるのですが、直島の地中美術館で観た体験も忘れられません。展示室に靴を脱いで入ったような気がするんだけど、違ったかな。それもあって印象に残っています。

 

明日で1巻を読み終える予定です。