2巻<スワン家のほうへⅡ>pp23-48.
昨日読んだ箇所です。
2巻はいきなり「ヴェルデュラン家の〜」と始まるので、ヴェルデュランって誰だっけ?ってなりますね。
そこから、ヴェルデュラン夫人のサロンのしきたりなどが描かれていきますが、悪いけど自分なら行きたくないですね。メンバーへの独占欲が強すぎるし、夫も言いなりすぎて…。
続く、スワンの女好きについての記述は、とても興味深いです。
スワンは、おそらく普段は社交界における自身の異例の地位をひけらかすことはしないけれど、惚れ込んだ女性の前に出ると、それによる付加価値を示したくなるようです。
初読のときも激しく共感したのですが、プルーストが記述しているように、人が自分のスペックをひけらかしたくなるのって、大概、相手が格下と感じている場合なんですよね。ある意味、相手(の理解)をバカにする気持ちが働いて、そうなっているような気もする。
スワンにとっては、社交上の得よりも惚れた女性と繋がることがはるかに大事で、そのためなら人望を失うようなことも平気でするようです。
そのことが「飢えた男が、ひと切れのパンを手に入れるためにダイヤモンドと交換するようなもの」などと表現されています。スワンの女性の趣味(における品のなさ)もここに表現されているのかも。
スワンが当時何歳かは明確に書かれていないと思いますが、「いささか達観した年齢に近づきつつあり」とされており、そうした時期になると、人は恋愛に踊らされるというよりは、それまでの経験によって恋愛を走らせるというようなことが書かれています。
…私には、まだその感覚はよく分からない(笑)
オデットがスワンに近づき、ヴェルデュラン夫人のサロンに誘うまでのいきさつが書かれていますが、オデットは人(男性)の心に取り入るのが上手いなあと…今の所はあからさますぎてあまり好感がもてない。
そのやりとりのなかでも出てきますが、スワンは、フェルメールを研究しているのですよね。
註にあったのですが、プルーストは、フェルメールの「デルフトの眺望」を鑑賞して「この世でもっとも美しい画を見た」としていたようです。
私も、オランダのマウリッツハイスで「デルフトの眺望」を鑑賞しました。非常に丁寧に作り込まれており、細部や全体を何度も観直したくなるような作品でした。
最も有名な「真珠の耳飾りの少女」に代表されるように、フェルメールは「青」にこだわった画家としても有名ですが、私は、フェルメールの「白」のも好きで、ニューヨークのメトロポリタン美術館で「水差しを持つ女」を観たときには、本当に本当に感動しました!色とは関係なく、日本の美術館に来ていた「真珠の首飾りの女」も、可愛らしくて好きな作品です。
フェルメールの絵は、日本の特別展に来ることも多いので、意外と観たい作品は全部観られているかもしれません(イギリスにはまだ行ったことがなく、ナショナル・ギャラリーの作品は観られていないのですが、最後の方の作品はあまり興味がなく…。でも、イギリスには他に観たい作品がたくさんあるので、いつか絶対に行きたいと思っています)。
ただし、ニューヨークのフリック・コレクションだけは、外に貸し出さないと聞いたので、同美術館所蔵の作品だけは現地で観ることがオススメです。美術館自体もとても素敵ですし、ルノワールの作品(「子供と散歩する母親」)などもすごく好きでした。
あと、やはり「デルフトの眺望」のような風景をオランダの現地で感じるのも、素晴らしい体験です。日本にはない空の広さ、オランダにもまた行ってみたいと思っています。
さて、スワンが恋の沼にハマっていく展開が、これから楽しみです。