2巻<スワン家のほうへⅡ>pp205-232.
恋するスワン、可愛いし面白すぎる(笑)
プルーストは「恋心に寄りそう影ともいうべき嫉妬心」と表現していますが、恋するがゆえに嫉妬にかられた人物って、第三者から見るとこんなに滑稽なんだなあとあらためて思いました(もちろん、自分だってそうなるんだけど)。
前回のオデットの嘘(?)の部分は、濡れ衣だったというオチ。
私も昨日の記録で濡れ衣を着せてしまって、申し訳ない気分になりました。
スワンは、オデットが他の男と関係を結んでいたとして、それが全ての人にとって病むようなことではなく、今の狂おしいほどの好奇心の原因は自分の中にしかないと分析しています。
胸が苦しくなるほど誰かを好きになると、そういうふうに自分の気持ちを客観的に分析しようとする心の動きは、何だか分かるところがあります。でも、結局は、その好奇心を満たそうとせずにはいられないんですよね。
スワンが、オデットから預かったフォルシュヴィル伯爵への手紙を必死に透かして読んでいる場面は、悪いけど笑ってしまいました。でも、好きな人から恋のライバルへの手紙を預けられたら……それは、探ろうとせずにはいられないですよね。
また、誰かを好きになると、他の人もみんなその人に惚れない訳はない気がしてしまうのはよく分かるけれど、社交に長けたスワンがとうとう人嫌いにまでなってしまったのは、やっぱり笑ってしまいました。
さらに、ヴェルデュラン夫人のサロンで、自分だけある集いに招待されていないことが判明したり、今度はフォルシュヴィルとオデットを近づけようとする動きがあるのを目の当たりにすると、ヴェルデュラン夫人を「淫売屋のおかみ、やり手婆あ!」とまで評価するようになるのも、これまた笑えます。これまでのスマートな振る舞いとの対比(笑)
でも、ヴェルデュラン夫人へのこのあたりの評価って、大きくは外れてないと思いますけどね(笑)
ますます恋の行方が気になります。