2巻<スワン家のほうへⅡ>pp469-519.読了
1月になってしまいましたが、言い訳すると、ほとんど昨日読んだ箇所になります。
最初の方は、引き続き、子供の頃の主人公がジルベルトを想う気持ちが描かれています。
幼い主人公が母親による就寝前のキスを渇望していた気持ちや、スワンがオデットに恋い焦がれていた気持ちにかぶる部分もありますが、友情にも近い子供ながらの恋という雰囲気もあります。
ジルベルトに期待する手紙の内容を考え暗唱するまでになったものの、期待する言葉を口にすることでその実現を排除してしまうのではないか恐るようになり、考えないようにしたという流れ、ものすごく真剣に恋していて可愛らしいけれど、神経症っぽさも感じるなと思いました。
今やジルベルトゆえにベルゴットを愛読するようになり、瑪瑙玉に接吻する主人公、ジルベルトに夢中なのが伝わってきます。でも、この瑪瑙玉は、ジルベルトが主人公に特別優しくしてくれた証でもあり、大切にする気持ちは分かりますよね。
両親とジルベルトの父であるスワンが疎遠になってしまっているのも、主人公にはもどかしいですよね。前は、母親からの就寝前のキスをもらうことを邪魔するかもしれない厄介者であったスワンに対し、主人公は今や「スワンと同じように禿げること」を願うようにまでなっています。ここはちょっと笑ってしまいました。
ジルベルトがシャンゼリゼに来られない日には、主人公は、スワン一家の住む家の前まで巡礼に出かけたりもしており、今で言う、芸能人やアニメファンの聖地巡礼みたいだなと思いました。繰り返し記述されているように、恋すると相手の生活に恋するみたいなところはありますよね。
主人公はジルベルトの母であるオデットのよく散歩しているあたりにも行き、オデットを待ち受けたりもしています。オデットは相変わらず魅惑的な振る舞いをしているようですが、街中で噂されている部分は、端的に現在のオデットの評価を表している感じがします。オデットと合流するグレーのシルクハットをかぶった男って誰でしたっけ?シャルリュス男爵?
最後は、現在の主人公がはかない過去を切なく想うところで閉じられています。
2巻は、本当に読みごたえがありました。
3巻は、初読のときにはそんなに印象に残っていないような気がする。オデットについて掘り下げられるみたいですね。