ももてぃの「失われた時を求めて」再読日記

文学に関しては完全な素人です。岩波文庫で読んでいます。一応、1ヶ月1巻ペース

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p240-271.

ここは、昨日読んだ箇所です。

 

とうとうシャルリュス男爵と主人公が面識をもちます。

シャルリュス男爵って、サン=ルーの叔父だったのですね。後の巻でシャルリュス男爵が中心的に取り上げられるパートの印象が強すぎて、それ以前の部分はすっかり忘れてしまっているようです。

シャルリュス男爵は、若い頃から美男子でとても粋な人であったようですね。今現在も貴族の誇りをもち、入念な身なりをしているようです。

 

ただ、単に貴族のダンディな叔父として描かれている訳ではなく、割とちぐはぐな面も描かれており、のちの伏線として描かれているのではないかと思いました。

 

まず、主人公との初対面が斬新というか、カジノの前でじっと自分をみつめるシャルリュス男爵を、サン=ルーの叔父とは知らない主人公が、泥棒か精神異常者ではないかという印象を受けたというのはちょっと笑ってしまいました。でも、何らかの秘密を抱えているオーラを感じたというのは、当たらずも遠からずって感じですね。

 

その後、主人公がタンソンヴィルでシャルリュス男爵を一度見かけたことがあると気づくのですが、この設定は何か意味があるのかな…?

 

そして、シャルリュス男爵はヴィルパリジ夫人の部屋でのお茶に主人公を誘いますが、実際に主人公が祖母をともなって行くと、「いやあ!よく想いついて、訪ねてくださいました」などと言うところは奇妙ですね。

そして、「こんばんいらしてくださいと私たちにおっしゃったのはあなたのほうですよね?」と問いただす主人公をシャルリュス男爵は無視しますが、これは無粋で子供っぽいというように映ったのではないでしょうか。

 

また、シャルリュス男爵は、「セヴィニエ夫人の手紙」に関して女性的な感性で深く理解したり、声の中に女性的な要素も見られる一方、女性化した今時の青年を糾弾する=男らしさにこだわる面があり(肉体の鍛錬にも余念がなく徒歩で旅をする等)、そのあたりに少しちぐはぐさを感じます。

 

以上です。

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p208-240.

挫折した訳ではありません。

しばらく中断していましたが、今週から再開しました。

ただ、この箇所はかなり前に読みました。なので、不正確な部分もあるかもしれません。

 

主人公は、ヴィルパルジ夫人の甥サン=ルーと仲良くなっています。

 

そのなかで、主人公が、1人でいるときと友人といるときについて考察している箇所が興味深いです。主人公は、サン=ルーのような友人といても、1人でいるときに感じられる幸福を感じないと述べています。

友人といるときは、自分を心地よくしてくれる印象が心の底から湧きあがってくるのを感じられるのに対し、友人といるとその精神が相手に向かってしまうというのです。

内向的なところのある人には分かる記述かなと思います。何ていうか、食事をするのでも、実は1人で食べる方が料理の感動を味わえる所がある気がします。景色を観るのもそうで、1人で歩いている方が感動的な断片をキャッチして、その印象を味わい切ることができるような気がします。

ただ、一方で、主人公が言うように、本質的な幸せとは違うかもしれませんが、「いい友人がいる」という考えもあるのですよね…。

 

サン=ルー自身は、とても親切で知的な青年という印象で、若く階級にこだわらないふるまいをしているようです。今流行りの共感性羞恥というか、人の恥になるような行動を目の当たりにすると、自分の顔が赤くなってしまうような心の深みもある青年です。

主人公の悪友ブロックもこの交流に加わってきますが、何というか、サン=ルーとは対照的なところが多いです。社会的な立場もそうかもしれませんが、それよりも性格上の品性というか…ここはあえて対比的に書いているのかなという感じです。

 

対人関係についての考察もとても面白いです。

他人の機嫌を損なうことを予期するのは難しいため、用心して自分のことを話さないようにするのがよいとのことです。

自分のイメージというのは、自分のいない場で他人が自分のことを話している言葉を通じて作られてしまう面もあり、自分が自分について語ったことが、極めて不都合な解釈をひきおこすことを考えておいて間違いないそうです。

これは、大人になると分かってくることっていう感じがします。でも、たまに自分のことをやけに話さない人っていますが、あれもちょっと印象悪いです。すごく計算高いというか抜け目のない人だなって感じます。

 

また、人が他人の欠点の話題を通して自分のことを遠回しに話すこともある(人はそこに歓びを感じる)とかも、興味深いですね。

 

さらに、「われわれひとりひとりには特別な神がついていて、その欠点を本人から隠すか他人の目には見えないと保証するかしてくれる」と書かれていました。ちょっと皮肉っぽいですが、人って自分が嫌われる理由とか他人からどう見えているかとか、なかなか自分自身で正確に把握することはできないですよね。もしそれができる人がいたら、すごいと思います。

 

主人公たちの交流について戻ると、ブロックは、主人公にはサン=ルーの悪口を言い、サン=ルーには主人公の悪口を言うなんて、典型的な陰湿な奴ですね…。ただ、それに翻弄されるほど主人公は浅はかでなく、とても冷静に捉えています。

 

これに付随して、主人公にとって、母親や祖母のように“絶対にけがれのない人”(主人公に対し裏表がなく純粋で無条件の愛情を与えてくれる人という意味?)が消滅したと思えるようになってからは、表向きも自分に対して粗野な人間を選ぶか、陰で悪くは使っても傍にいるときは優しく接してくれる人を選ぶかしかなく、後者の方がまだ付き合いやすいと思うと述べています。

私も、これには同意です。前者は自サバの人とかが典型じゃないでしょうか?表向きだけでも優しく共感的に振舞ってくれる人の方が、付き合う上での不快はないと思います。辛辣な本心を見せない(裏表を作る)とういのも、相手に対して手間暇をかける誠意と受け取ることもできますし。

 

それから、ブロックの虚偽の混じった(と思われる)発言に関して、大胆に真実を口にしながらかなりの嘘を交えるという方法は、広く使われているということも書かれていました。

 

以上、一週間以上前に読んだ箇所ですが、意外と覚えていました。

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p177-208.

とりあえず、今読んだのはここまでです。

 

今回印象に残ったのは、主人公と祖母とのやりとり。

祖母がいなければ生きていけないという主人公、祖母が亡くなってしまったらということを暗に考える二人…そして、祖母の心を想い、愛している人が亡くなっても、変わらず愛するが穏やかに過ごしていけるだろうと伝える主人公…。

何かとても優しいやりとりだなあと思いました。

やはり、この祖母の性格は、神経症っぽい主人公とはとても相性がよい気がします。

 

そのほか、思春期についての考察も興味深かったです。

思春期こそ、ばかげたことをやるが、人が何かを学びとったと言える唯一の時期だそうです。

そういうこととは少し違うかもしれないけれど、思春期に気に入っていたもの(音楽や文学)って、その人にとって一生特別なものであり続ける気がします。大人になるとこういうものがいいものみたいなのをより分かってくるけれど、そういうものとは違って何歳になっても感覚的に響いてくるものがあるというか。

私の場合、小沢健二さんの曲とかはそんな感じかもしれません。

 

そして、ここでやっと重要なエピソードが出てきました。

サン=ルー侯爵の登場です。長身の伊達男のようですね。

ヴィルパリジ夫人の甥(姪の息子)だったことは、すっかり忘れていました。

これから主人公との交遊が始まりそうで、楽しみです。

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p147-177.

たまっていた記録をつけてしまおうと思います。

 

主人公はヴィルパリジ夫人と馬車で散策に出たりしています。

通りすがりの娘たちに心惹かれがちな所は、ものすごく性の部分が目覚めてきた感じですね。

 

あとは、リンゴの一枝についての描写が印象的でした。

主人公は植物に心惹かれるところがあり、その周辺の描写は一際繊細だなと感じます。

 

やっぱりここもまだそんなに重要ではないかなあという感じで、少し読み飛ばしぎみになってしまいました。

 

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p116-147.

大分長い間、記録を怠っていました。

 

相変わらず豪華ホテルでの日々が描かれています。

フランソワーズが色んな人と仲良くなっている様子は面白かったり。

それから、ヴィルパリジ夫人との交流も始まりました。

 

注目すべきところとして、主人公の父親の職業が明かされます。

官房長とのことです。偉い役人ってことですよね。

現代の日本で生活していると、ヴィルパリジ夫人のような貴族と主人公一家のようなブルジョワとの微妙な関係性(緊張感)っていうのは、どうしても感覚的に掴みづらいところがあるような気がします。

 

全体的には、さほど重要でないエピソードが続いているかなという感じです。

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p85-116.

ちょっとまだ不調ですね。

 

主人公が祖母と宿泊している「豪華ホテル」の客の描写が中心でした。

主人公はまだ他の客と交流できていませんが、ヴィルパリジ公爵夫人の登場で光明が差し込んできた感じですかね。

 

たまに「ここいる?」みたいに思うところがあるけど、今のところはそんな感じです。

4巻<花咲く乙女たちのかげにⅡ>p55-85.

ちょっと精神的に不調なのか、全く集中できず…。

 

主人公バルベックに到着しました。ホテルに泊まっています。

新しい土地で若干不安定になっており(簡単に言うと、変化に弱いところがあるのだと思う)、祖母に甘えています。甘え方が年相応な感じではなく、やっぱり愛着の問題を抱えていそうに思いました。

でも、神経質な主人公とあたたかみのある祖母は、何となく相性がいいような気がします。祖母の対応が、柔らかくてとたも優しく感じました。

 

今日は、簡単な記録になります。

以上です。