ももてぃの「失われた時を求めて」再読日記

文学に関しては完全な素人です。岩波文庫で読んでいます。一応、1ヶ月1巻ペース

3巻<花咲く乙女たちのかげにⅠ>p308-338.

今日の箇所は、色々と面白かったです。

 

ベルゴットの知的な懐の深さが描き出されていますが、主人公にとってベルゴットは知的な面での父という感じの存在になっているのかなと思いました。

 

医者をめぐるベルゴットと主人公の考え方の違いも、本筋には関係なさそうですが、面白く読みました。

ベルゴットは、おそらく主人公の神経症的な特徴(主人公の不調には心身症的な側面がある)をふまえて、知的な人に必要なのは、知的であるがゆえの不調を理解できる医師(つまり自身も知性が高い医師?)であると考えているようですが、主人公は知的な人と愚かな人で医師の異なる対応が必要とは思えないと考えています。

 

こうした議論に付随して、ベルゴットの割と激しい裏表も描かれていますが、さすが作家というか、現実を鋭く観察し巧みに言葉にしている感じはあります。スワンがオデットと結婚したことで味合わなくてはならなくなった悔しさを鋭く考察し、「こらえているのがわかります。だって口が歪んでるでしょ」などとかなり意地悪な根拠まで付け加えています。

大人になれば、人付き合いなんてそんなものだとも思いますが、これくらいの年齢の子供にとっては、こういう人の裏表ってちょっと驚いてしまうかもしれませんね。

 

そのあと、スワン夫妻(というかスワン夫人)をよく思っていない主人公の両親が、ベルゴットが主人公を「頭がいいと思った」としたという報告を受け、ベルゴットに対する評価(のルポワ氏の影響が大きい?)をころっと変えたのは、すごく親バカですよね(笑)

 

話題ががらっと変わり、主人公が性の世界へと導かれていきます。

ブロックが娼家に連れて行ってくれたとのことですが、ちょっと謎の記述が付け加えられていて…。娼家に通うようになる以前に、従姉妹のひとりと関係をもった経験があったということ(それが初体験)ですかね?このへんの時系列が、ちょっと混乱しました。しかも、相手が従姉妹ってことに関して、全く説明がないし。

こういうことになるとかなりぼかして書かれているような感じがするのは、気のせいでしょうか。割と重要なことだと思うので、もう少し明確に書いて欲しい気がします…。

 

主人公が、いつかの心変わりも予想せずにスワン夫妻に対しても一生懸命になっているのは、初恋らしいというか、かわいいなと思いました。

スワン夫人から、私が親ならあなたに後見人をつけると言われたりしているけれど、これは作者自身の散財癖が描写されているようにも思えました。

また、主人公が大使館で働かないことに決めたのはジルベルトのそばを離れないためだったと書いてありましたが、スワンに関してもオデットのためにパリを離れられなくなったという描写があって、作家自身の経験と関連しているのかなあと思いました。

 

そのあと、いっこうに仕事(作品を書くこと)にとりかかれない主人公の内面の描写は、先延ばし癖のある人には、とても共感できるものだと思います(笑)

 

ところで、主人公の年齢って明確には書かれていないと思いますが、何歳なんですかね。

どこかでコレージュって書いてあった気がするし、公園で遊んでいたし、最高で中2くらいかなと思っていたのですが、娼家とか職業選択の話題が出てくるということは、いつのまにか高校生くらいになっているのでしょうか?

読み飛ばしたところがあるせいで分からなくなってしまったのかな(汗)?

 

やっぱり参考書もまた読んだ方がいいのかもなあ…と思えてきました。